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FREE BIRD

第68章 妻として

今思えばあれがお迎えというものなのかもしれない。


そして、お迎えは紛れもなく孝子さんで、私は役目を果たした気分だった。


進は孝子さんの所に帰ったのだ。


少しだけ妬けた。


だけど、私の心にはまだ誠さんの愛がコロコロと小さく固まっていた。


たった一年程だ。

41年のうちのたった一年程の恋。

なのに私の心の小さな灯火となっている。


そのせいか、私は気持ち良く進を孝子さんの元へ返せたような気がした。

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