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妖艶怪

第1章 第1章



カツカツ…


雨で濡れた夜のアスファルトに
自分の革靴だけが響く。

10月もあと2日。
風が吹き寒さに身を縮ませる。


ふと前方を見ると
人が道の端にうずくまっている。


酔っぱらいか…?


近づいてみると女だった。

ベージュのトレンチコートに
焦げ茶色の巻き毛。
薄手の黒ストッキングに
黒いブーツ。
街灯に照らされていた。


ひっく、ひっく…


泣いているみたいだ。

俺は泣いている女を
放っておける性格じゃない。


大丈夫ですか??

声を掛けると
女は顔をあげた。

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