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いつまでも

第2章 はじまり

「あ、もしかして、先日の…」

「はい、あれから大丈夫でしたか?」

「はい、その節はありがとうございました。お礼がしたくて、会いたいと思ってたんです」

「俺も、落としたタオル渡したくて…」

「あっ、何から何まですいません…」

「いいんです、あの、ここでは何なので、近くの公園にでも行きませんか?」

俺から誘うなんて初めてだ。
でも彼女は、喜んでついてきてくれた。

彼女には、俺が『櫻井翔』だということは分かっていない。

知ったらどう思うのだろうか。

「自己紹介が遅れました、私、うえの あおいと言います」

そう言うと彼女は、メモ帳に漢字で『上野葵』とキレイな字で書いた。

「へえ、漢字、書けるんですね」

「見て分かると思いますが、私は目が見えません。でも、出来るだけ普通の暮らしができるように、文字は練習したんです」

すごいな、と純粋に思った。
障害を抱えていても、前向きに生きる彼女の姿勢に感心した。

「あの、驚かないで聞いてもらえますか?」

「はい、何でしょう」

「実は、俺は、嵐の『櫻井翔』です」

「…えっ!?」

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