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齟齬

第9章 9


ロビーも石張り

間接照明のせいだろうか

なかにはいると

迷いこんだ洞窟のようだ。

木の扉のエレベーターが見える。



「やっと、ここまで来たのね。」




背中で紗智子が言うと

鍵をエレベーターの操作盤にさした。


回数表示ランプが

ぼんやりと点灯すると

まもなくエレベーターの扉が開いた。

飴色の絨毯に足が沈む。


紗智子は10階のボタンを押した

上昇する速度が

感じないくらい音がしなかった。


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