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クリスマスに奇跡を

第2章 奇跡のあとのクリスマス

悟は俺の目の前に立つと静かに俺の首に腕を回した。
少し痩せてはいたが、悟の腕には俺があの日触れた暖かなぬくもりが籠っていた。
無意識に、つぅーっと涙が流れた。


「伸・・・どうして僕の前から消えたの?」
甘えるように俺に縋る悟が、いとおしくて仕方がない。
今すぐにでも抱き締めてしまいたい。
だが、俺はあの事を思い出し、一度は悟の背に回しかけた手を、ぐっと握りしめた。


「・・・僕ね、ずっと伸の声を聴きながら夢見てた。僕の支えだった。でも、いつの間にか伸の声が聞こえて来なくなってた。」


それなのに俺は・・・

悟の腕に、力が籠った。
俺の腕がわなわなと震える。
「ごめん、悟。」
俺は見っともなく涙を流しながら、力いっぱい悟を抱きしめた。


「僕の方こそ、長い間待たせてごめんね。」


メリークリスマス。
新たな二人の始まり。
今度こそ二人で幸せな時間が過ごせますように。


降りゆく雪の中、俺たち二人はいつまでも抱き合い、キスを交わしていた。





END

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