
クリスマスに奇跡を
第1章 クリスマスに奇跡を
あれから何度目のクリスマスだろうか。
俺は室温調節された部屋の中から冷え込む外を傍観していた。
++++++++++++
10年間も想いを寄せていた幼なじみの悟と長い年月の末、ようやく想いが通じた。
そして今年の冬、初のクリスマスデートへとこぎつける事に成功した。
寒い中を二人で手を繋ぎ子供のように歩く。
クリスマスと言うこともあり、男同士で手を繋いでいても誰ひとりとして気にするものもいない。
商店に並ぶものもすべてがクリスマス一色で賑やかだ。
それに感化されたように二人も気分を興奮させていた。
ネックレスを買い合い、人目を避けた路地裏で違いの首に嵌めて誓うように口づけを交わす。
タイミング良く、チラチラと降り始めた雪が二人を歓迎しているように思えていた。
それが、まさかあのようなことになろうとは・・・。
予約していたレストランに入った瞬間。
目の前の店員も食事中の客も驚愕のあまり、目を見開いている。
何かあったのか?と振り向けば車が車道を外れ、この店に向かって来ていた。
「あぶない!」
「きゃぁ!」
と店の中に叫び声が響く。
俺は咄嗟に悟に腕を伸ばしたが間に合わず、背中から壁へと跳ね飛ばされた。
そして、悟は宙を舞いボンネットに打ち付けられてから床へと転がった。
「悟!」
車は壁に減り込んだ状態で止まった。
床に横たわった悟もピクリともしない。
何が起こったのか誰もがそう思うほどの一瞬の出来事だった。
遠くの方でサイレンが聞こえる。
それが自分の鼓動と重なって聞こえていた。
悟は生きているだろうか。
悟は動かない。
なら、心臓は動いているのだろうか?
息はしているのだろうか?
悟を助けに行かねば。
だが、一歩踏み出したと同時に腰砕けになり這いつくばった。
周囲から悲鳴が上がる。
どうせ血が流れているとかだろう、だが関係なかった。
どうにかしてたどり着いた悟の傍で、俺の視界は闇へと閉ざされていった。
俺は室温調節された部屋の中から冷え込む外を傍観していた。
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10年間も想いを寄せていた幼なじみの悟と長い年月の末、ようやく想いが通じた。
そして今年の冬、初のクリスマスデートへとこぎつける事に成功した。
寒い中を二人で手を繋ぎ子供のように歩く。
クリスマスと言うこともあり、男同士で手を繋いでいても誰ひとりとして気にするものもいない。
商店に並ぶものもすべてがクリスマス一色で賑やかだ。
それに感化されたように二人も気分を興奮させていた。
ネックレスを買い合い、人目を避けた路地裏で違いの首に嵌めて誓うように口づけを交わす。
タイミング良く、チラチラと降り始めた雪が二人を歓迎しているように思えていた。
それが、まさかあのようなことになろうとは・・・。
予約していたレストランに入った瞬間。
目の前の店員も食事中の客も驚愕のあまり、目を見開いている。
何かあったのか?と振り向けば車が車道を外れ、この店に向かって来ていた。
「あぶない!」
「きゃぁ!」
と店の中に叫び声が響く。
俺は咄嗟に悟に腕を伸ばしたが間に合わず、背中から壁へと跳ね飛ばされた。
そして、悟は宙を舞いボンネットに打ち付けられてから床へと転がった。
「悟!」
車は壁に減り込んだ状態で止まった。
床に横たわった悟もピクリともしない。
何が起こったのか誰もがそう思うほどの一瞬の出来事だった。
遠くの方でサイレンが聞こえる。
それが自分の鼓動と重なって聞こえていた。
悟は生きているだろうか。
悟は動かない。
なら、心臓は動いているのだろうか?
息はしているのだろうか?
悟を助けに行かねば。
だが、一歩踏み出したと同時に腰砕けになり這いつくばった。
周囲から悲鳴が上がる。
どうせ血が流れているとかだろう、だが関係なかった。
どうにかしてたどり着いた悟の傍で、俺の視界は闇へと閉ざされていった。
