赤い花~情欲の檻の中で~
第2章 MemoriesI
溌剌とした印象は外見だけではなく、性格も男っぽくて部下の面倒見は良いと評判の管理職である。
だが、正直、この上司が美華子は昔から苦手だ。今いちばん逢いたくない人に逢ってしまう自分の不運を正直呪っていた。
「あ、はい」
美華子は無難な笑顔を拵え、頷いた。
狭い箱の中に沙織と二人きりでも、何とも重たい沈黙が漂う。
ふと、美華子は沙織がじいっと自分を見つめているのに気づいた。嫌な感じの眼だと思う。まるで何かも、お前のことなんかお見通しだぞとでも言いたげなこの瞳が、実は美華子が沙織を苦手だと思う最大の要因なのだ。
だが、正直、この上司が美華子は昔から苦手だ。今いちばん逢いたくない人に逢ってしまう自分の不運を正直呪っていた。
「あ、はい」
美華子は無難な笑顔を拵え、頷いた。
狭い箱の中に沙織と二人きりでも、何とも重たい沈黙が漂う。
ふと、美華子は沙織がじいっと自分を見つめているのに気づいた。嫌な感じの眼だと思う。まるで何かも、お前のことなんかお見通しだぞとでも言いたげなこの瞳が、実は美華子が沙織を苦手だと思う最大の要因なのだ。