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赤い花~情欲の檻の中で~

第3章 MemoriesⅡ

「あの時、安藤さんがね」
 言いかけた美華子を祥吾が断固とした声で遮った。
「今、何でそんなつまらない話を持ち出す? 折角、二人きりの時間を過ごしてるんだ。もう少しは愉しい話をしたら、どうなんだ」
 本当に気の利かない女だな。
 よくよく注意していなければ聞き逃しそうに低い声ではあったけれど、美華子の耳はしっかりと捕らえていた。

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