
赤い花~情欲の檻の中で~
第3章 MemoriesⅡ
美華子は既に氷が溶けてしまったカクテルグラスを机に置いた。
「私は人事にいるのよ、祥吾さん。幾ら、あなたが私に隠そうとしていても、そういった噂は割と聞き逃さないものだわ」
「別に、俺は美華子に隠すつもりなんてないさ」
どこか投げやりに言った彼は、音を立ててグラスを机に置いた。その拍子にまだわずかにとけ残った最後の氷が小さな音を立てた。
「別に良いのよ。ただ、私たちの噂だって、あなたの出向と同じで隠そうとしても隠せないものだったのかもしれないって、そのことが言いたかっただけ」
「私は人事にいるのよ、祥吾さん。幾ら、あなたが私に隠そうとしていても、そういった噂は割と聞き逃さないものだわ」
「別に、俺は美華子に隠すつもりなんてないさ」
どこか投げやりに言った彼は、音を立ててグラスを机に置いた。その拍子にまだわずかにとけ残った最後の氷が小さな音を立てた。
「別に良いのよ。ただ、私たちの噂だって、あなたの出向と同じで隠そうとしても隠せないものだったのかもしれないって、そのことが言いたかっただけ」
