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赤い花~情欲の檻の中で~

第3章 MemoriesⅡ

 あの長い脚に自分の脚を絡め、焔のように烈しく燃え上がって一つになる瞬間も好きだった。彼が自分の中に入ってくるときの感覚、苦しさがやがて堪らない快感に変わる瞬間も好き。
 祥吾に関して〝好き〟は幾つでもあった。
―私はどうして、あんな男をここまで好きになってしまったの? 幾ら愛しても、けして愛されることはなく、私を一人の人間として価値あるものと見てはくれないような男に心奪われてしまったの。
 涙がひと粒、頬をころがり落ちていった。

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