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赤い花~情欲の檻の中で~

第3章 MemoriesⅡ

 何事にも煩い彼らしく、今のスマホは黒のS社から出ている最新型である。美華子が近づくまで、彼は明らかに誰かと話をしているうに見えた。現に今まで、スマホを片手に熱心に話し込んでいたのだ。
「あら、電話中だったのね」
 さりげなく指摘すると、祥吾の整った顔が蒼褪めた。
「そうか? お前の勘違いだろう」
「でも、あなたがスマホを手にしているのを私、見たのよ」
 単なる電話ならば、ここまで動揺して隠し立てする必要はないだろうのに、かえって不自然な態度を自分が取っているのが判らないのだろうか。

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