
許嫁から始まる恋
第8章 EPISODE #8
「こっはるーっ」
「兎…。」
陽気な声に足を止め、振り向く。
兎は朝から元気だなー。
「おはよ、兎。」
「おはよ。今日は珍しく遅刻
してないじゃん。何かあったの?」
「別にー。」
当然ながら私は遅刻常習犯です。
昨日は遅刻せずに来れたけど、
いつもの生活なら今日は遅刻してる。
でもなんで今日は遅刻してないのか。
だって、それは…朝から遥に頭を
撫でられちゃうし、遅刻すんなよって
言われたら遅刻出来ないし…。
なんとも、あの遥の、"大人の余裕"の
笑顔を見せられると、余計に出来ないよ。
…って、私。
なんで遥の事ばっかり言ってるの…。
…恋、ですか?
……。
「いやいや。あり得ないから。
私が恋なんてあり得ないから。」
