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恋の居場所

第27章 届ける思い


冬磨を砂浜に呼び出した


波を打っている音しかしない







「どうした妃巳架」






ドクンドクンっと海の音よりも胸がうるさく聞こえる










「これ以上嘘つきたくない
冬磨と居る時間楽しくて大好き

だけど..それ以上に忘れられない人が居る」







「...なんでだよ」









「冬磨に嫌われるって分かってる

でもどうしてもあたしはその人に想いを届けたい」









海の音だけになり沈黙が流れる





もうここから消えてしまいたい


どうしてこんなに辛いんだろ










「俺が何言ってもその気持ち変わらないんだよな」







「..変わらない」









昔から泣き虫だった冬磨



だけど大きくなるにつれ泣き虫冬磨の涙は見なくなった





今日久しぶりに見たよ








「まあ..御前って昔から頑固だもんな

分かった、別れよう...」









"別れよう"っていう言葉は言う側も聞く側も辛いんだ




"別れ"にはどうしても涙が必要なんだ








「でもよ、俺はいつでも妃巳架が戻ってこれるように待ってるし
幼馴染で友人ってのも変わらないからな」







「ありが..とう...」









「泣くなバーカ..

お前だって苦しんで考えた答えなんだから」








それだけ言って旅館の方へ歩いていった




自分だって..泣いてるくせにバカ




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