恋の居場所
第29章 狂った女
露出の多い服、派手な化粧
金髪に染めた髪をなびかせて繁華街を歩く
「あ、妃巳架~セックスしよ~」
「あんた下手だからイヤ」
ぷいっと顔を背けて歩き出す
あたしは"神沢 王史"に振られて忘れるために遊びまくった
今では"忘れるため"というのも忘れて荒れまくってる
あれから約1年
あたしは自分を捨てた
「妃巳架...? お前また何してんだよ!!」
「あ~春樹~何?エッチなら今度にして~」
春樹の肩に腕を乗せて上目遣いをするとバッと叩かれた
この人あれから何も変わってない
「つまんないの~」
「変な奴等と絡むのもクスリやったりすんのも止めろ!!」
どうしてこの人にこんな事言われなきゃいけないのか分からない
「あんたムカつく。二度と顔見せんな」
振り向き歩き出すと腕を掴まれて何処かに連れて行かれた
「離せよ!!!」
どれだけ暴れてもその手は離れない
「本当の妃巳架に戻れよ..」
春樹があたしの方を向いた時誰かにぶつかった
あたしの連れだ
「おい、妃巳架に何してんの?」
がたいのいい男は春樹を眼づけ、その目を逸らそうとしない
「もう一切妃巳架に近づくな」
「ああ?なんだてめえ?」
春樹は馬鹿ね
ここいらじゃ喧嘩で有名な男に歯向かうような事言って
もちろん男は春樹の胸倉を掴んで殴ろうとした
だけど春樹は殴られなかった
ガッとそれをよけ何度も殴っている
「ちょっと春樹!!何してんの!」
目に少しの涙を浮かべ男を何度も殴り続けてる
春樹って...こんな人だっけ?