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それでも、私は生きてきた

第3章 自傷の始まり

カチカチカチ……

カッターの刃先を見ていたら、
母親から
包丁を突き付けられた時のことを
思い出した。

真っ白な自分の手首。

よく…
ドラマとかで手首切って、
お風呂が真っ赤…
そんなシーンが
頭をよぎった。

お母さん、ごめんなさい。
悪い子で、ごめんなさい。


手汗がビッショリだった。
目を硬く瞑って、
右手でカッターを握っていた。

左手首めがけて、
カッターを振り下ろしたけど…

全然…
切れてなかった。
うっすら薄く赤い線が
浮き上がってるだけ。


心臓がバクバクしていた。

もっと
痛いと思った。
もっと
血が吹き出ると思った。



でも…

自分を裁けた喜びが
大きかった。

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