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それでも、私は生きてきた

第53章 教えて

終始、拓也は黙っていた。

言葉を吐き出し終えた私の口からは、
泣きじゃくる悲鳴しか上がらず
ただひたすら
泣きじゃくった。

車を停めて、
言葉が枯れた私の頭を撫でながら

辛かったなぁ、頑張ったなぁ…

と、呟いたあと、
ティッシュ箱を私に持たせて
ただ黙って拓也は私の頭に手を乗せて
ゆっくりゆっくり
撫でてくれた。


いつまでも枯れない涙の滝は、ポタポタと落ちて行った。

いくつものティッシュの塊をポイポイ転がしながら、目から鼻からホッペから…
拭き取りながら
グスグス鼻を鳴らす。



なぁ、明日に戻んなきゃなんないの?もう1日居れないの?明日は兄貴も休みだから帰って来るし。




このまま…
このままココに居たい。
それが、言えたら良いのに。
空っぽになった言葉の井戸に、言えない言葉たちを放り込んだ。



戻らなきゃいけない所があるから。と、
真実のすべてを言えない苦しみからなのか。

訳のわからない理由を並べて居た。



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