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それでも、私は生きてきた

第54章 枯れない涙

拓也との時間は、とても早く流れて行った。
どれだけの言葉を吐き出しても物足りなくて、
この夜が明ける頃には
私はまた…。

祖母宅に戻ると、コタツの横に敷かれた布団に
祖母は眠っていた。

静かに上がったものの、祖母は目を覚ました。

ユリちゃんかぁ?帰ったかぁ?ばぁちゃんの布団さ来いなぁ、寒いからなぁ。

祖母の手招きに呼ばれ、布団に潜り込むと、

あったかいのあっから、これ、あったかいから。

祖母が差し出すのは、ホッカイロ。

ばぁちゃん寒い日は、ホッカイロ体さ、くっつけてんだぁ。ユリもくっつけてあったかくして寝んしゃい。

うん、ありがとう。

直後に祖母はスヤスヤ…寝息が耳元に響く。
背中にピッタリとくっつく祖母の温もりが、涙を誘う。


眠れないまま、どれだけの時間が経っていたのかわからなかった。

ただただ
時計が鳴らすチッチッチッ…
祖母の寝息

静かな部屋に響く音を聞きながら、
私の頭の中は休むこと無く働いていた。

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