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それでも、私は生きてきた

第72章 罪を犯した日

浴衣のような手術着に着替え、台に座った。

婦人科の検査などで何度も座った事のある台と同じ。
足を大きく開いて寝そべる。

麻酔の点滴、血圧計、心拍数など。次々に私の体には、機械がはめ込まれていく…。

静まり返る空間の中にカチャカチャと金属がぶつかり合う音が響く。
手術の準備が始まってる…

そう思うと瞬時に涙が溢れ始めた。

目を閉じるのが怖かった。

電気で眩しい天井を見つめ、目を大きく開き閉じれなかった。


カチャカチャと金属音を鳴らしながら、
先生から


体調はどうですか?
昨夜は眠れましたか?


ドラマとかで見る、

数字を数えて下さい。を想像していた。

1…2…3…
と数えている途中に、スッと麻酔の効果で意識がなくなる。


朝食は食べましたか?

朝食は食べてません…

と、答えた所まで覚えている。


その直後に、きっと意識がなくなったと思う。




でも、

私は、

覚えている。

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