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それでも、私は生きてきた

第11章 オーバードーズの幻想

オーバードーズを覚えたのは、
中学2年生頃
だったと思う。

オーバードーズと言う
言葉も知らなかった。

ただ、
何と無く
消えてしまいたい、
死んでしまいたい、
自分自身を破壊する方法を
ボンヤリ求めていた。

当時、
まだ精神科も知らず、
睡眠薬などの存在も知らず、
家の中にあった
あらゆる薬をかき集めた。

風邪薬、
鎮痛剤、
胃薬、
アレルギーの薬、
何の薬かも
わからない薬を
あるだけ集めた。

恐らく200錠くらい。

無防備に
口の中に放り込み水で押し込む。
何回も同じ動作を繰り返し、
目の前にあった
大量の錠剤は、
私の胃の中に消えた。

30分程たった頃、
激しい頭痛、吐き気、冷や汗、身震い、眩暈…
パニックに陥った。

家には誰もいない。

薬をいっぱい飲んだ。
と、言って怒られることを恐れ
家族が帰宅するも
部屋から出なかった。

心臓の音が
バクバクバクッ
大きく耳元で聞こえた。

このまま
恐怖に襲われながら死ぬのか…

と思いながら
いつの間にか眠りについた。

目が覚めたのは2日後。
ただ長い眠りについてるだけだと、
家族は特に気にかけなかった。

これが、
私の初めてのオーバードーズだった。

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