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妹えっち!

第20章 別れ話







 璃乃と友達をやっててわかるのは兄への依存度が半端ないことだ

 璃乃は本気で兄が大好きだ

 妹の溺愛ぶりはすさまじく、美春が恐れていたのは、想われてるから好きという受け身型の好きではなく、完全に自発的に兄を愛してる部分だった



 その胸に、心に、神をも恐れぬ恋心を秘めている



 美春から見て
 彼氏とイイ感じだったのに

 話を聞けば
 璃乃は兄の願いを通そうとしてる

 重さが違いすぎる



「璃乃、聞いてよ
もっと、よく、考えて
あんたがいくら望もうが
お兄ちゃんと結婚はできないよ」

「じゃあ結婚は諦める
夫婦になる」

「…夫婦もむりだよ
どこまでいっても
兄と妹、それは変わらない」

「じゃあ愛し合う
他には何もいらない
なんで兄妹だとだめなの?
そんなの悲しいよ
一緒にいるだけでいい
あとは何を捨てればいい?
世間が定めた人並みの幸せを捨てて
あと何を捨てれば
お兄ちゃんを好きでいていいの?」

「璃乃…許されないよ…」

「そんなに悪いことなの?
私だって好きでお兄ちゃんを
好きになったわけじゃないよ
でもだめだった
諦めたのにだめだった
お兄ちゃんが一番かっこよく見える
確かに私は不幸者だけど
非難される側だけど
人の幸せに口を出すなよ」



 不特定多数に向けて言われた言葉が美春の心に突き刺さった



「今がチャンスなんだよ
一年後、一ヶ月後、一週間後
ううん明日にもお兄ちゃんの気持ちは変わるかもしれない

お兄ちゃんが好きになる女性がいつ現れるかもわからないんだよ

妹である前に女だから
もう誰にも渡したくない

お兄ちゃんを私のモノにしたい」



 止められそうもなかった
 応援したいのに説得ばかりしていた美春は胸が詰まる

 璃乃はひとりでも
 禁断の恋に立ち向かっている

 美春は親友としてそれを応援するべきじゃないのかと、まっすぐな璃乃を見て自分に問いかける



「璃乃…あたしは…」
「シッ、誰かくる」



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