えっちなたいいくのじかん
第7章 3じかんめ「どっじぼーる」
おいヒロシ、と俺の背後から声がかかる。振り向くとタヌマがアホみたいに歯を輝かせてニコニコしていた。なんだお前、今日も何も考えてなさそうな顔しやがって。最近気弱なお前見てると情けなくなってくるぜ。えっちの女神はな、勇気ある者にしか微笑まないんだよ。ん、なに?この間の持久走の時の出来事を教えろってか!馬鹿言うな!お前ビビッて俺に協力しなかったじゃねえか!タダでえっちな話が聞けると思ったら大間違いだぜ。何か交換条件ならいいけどな。なんかお前も俺に、えっちないい思いをさせてくれよ。
なに、今から前を歩く女子のショートパンツをずり下げて見せるって?そりゃお前、立派な申し出だが、どうしたんだいきなり。今日に限ってずいぶん元気じゃねえか。そんなことやる勇気が湧いてきてるなら、そんな単発のえっちじゃなくて、もっとでっかいえっちを俺と協力して手にいれようぜ。……よし、じゃあ話は決まりだな。今日の体育でなんかえっちなこと、しでかしてやろう!
かくして今日は、久しぶりにタヌマと同盟を結びつつ、計画を練りながら体育館へ到着したのだった。まだ体育の先生のウシジマは来てなかったから、クラスメイト達は勝手にボールを出したり走り回ったりして遊んでる。俺とタヌマだけは、ステージ横の薄暗いところで、おんなのこを一人ひとり品定めしつつマジメな顔しているのだ。
「おーい、片付けろ!整列ぅ!」
授業のチャイムが鳴ると同時に、ウシジマが来た。俺達は大方決まった計画の成功を祈る意味で、タヌマとハイタッチを決めてからウシジマの前へと整列のために駆け足した。