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第13章 午後7時





百合子は大声で笑いながら一段一段登っていたのを止めて、今度は私を攻めるように下りてくる。




一段、一段……




進んでいた私の足は逆に後退りしてゆく……




「受話器を……
受話器を返して下さい……」



私は恐ろしさのあまり、気が付いたら隠し持っていた刃物を取り百合子の手を切り刻んでいた。



「あははははっ!
民江さん、痛いじゃないの!
あははははははは!」


「受話器を返して……お願い……」



「あははははは!
あなた、どうします?とんだじゃじゃ馬ですわ。」





切り刻んでも、切り刻んでも、笑いが止まってくれない……


受話器も電話も血まみれの手で持ったまま笑っている……



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