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翌日、もう少しで午前８時というところ。あたしも楓も梨花もまだ登校してきていない、１年Ｂ組の教室。数人の女子生徒が寄り合い、噂話に花を咲かせていた。

「そういえばさ」
女子の小声が静かな教室に響く。

「――中村くん、日向さんと付き合い始めたって聞いたけどホントかな？」
そう言った女子は、後ろの二人と話しやすいよう椅子に対して横向きに座っている。

「日向さん…？って…ああ」
その真後ろに座る高慢そうな女子が、あたしの席を見て思い出したように言い、呆れの混じった短いため息をついた。

「まさか。ただの噂でしょ」

だが、最初の女子はかぶりを振る。

「なんか～、音楽室に二人きりでいるとこ、友達が見たんだって。しかも…座ってる日向さんに、中村くんが立ったまま顔を近づけて、キスしてたって！」

興奮ぎみな彼女に対し、高慢そうな女子は一瞬眉を潜めただけであった。それでも、刹那でも信じかけてしまった自分を認めたくないのか、ごまかすように頬杖をつき、待った、と反論する。

「中村くんは“魔女”と付き合ってるはずでしょ」