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運命操作

第6章 火の粉が一気に燃え広がる

そうである。彼らは公認のカップルで、二人が付き合っていることはクラスの全員が知っていることだったはずである。

「うん。だから、意外っていうか。中村くんって、二股とかかけそうにないのにね」

と、今まで、ふーん、とただ聞いていたもう一人が口を開く。

「あ、海棠香織となら、最近別れたらしいよ?」
高慢そうな女子の隣の机に腰をかける別の女子が、自らの髪をいじりながらさらりと言った。

「えっホント?初耳~!誰から聞いたの?」

「泉。海棠香織の取り巻きたちがトイレで話してるのを聞いたって」

“海棠香織の取り巻き”――海棠の友達を、彼女たちはそう表現している。

「え~っ!そうなんだ!確かにちょっと前から中村くんって、魔女と二人でいるとこ見ないし、日向さんと熱く見つめ合ってるのをちょくちょく見るよね…」
どこまでが素なのか、噂好きそうな最初の女子は大げさに驚いて見せた。高慢そうな女子は、ただ沈黙していた。





「…楓、大丈夫かな」
誰も座っていない楓の席を見、あたしは呟いた。

女子三人が噂話をしていた1年B組の教室。ほんの数十分前の話題に自分の名前が上がっていたことなど露知らず、あたしは他人を心配していた。

いつもならとっくに登校している時間だが、楓はまだ学校に来ていない。
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