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寝取られ漂流記

第14章 18歳冬

「ねぇ、彰人」
「ん?」


あたしは教室の中に置かれた机に腰をおろし、
片足を上げて、膝を抱える。
部屋を見渡すようにしていた彰人があたしの方を向いた。


「今までありがとね」
「お礼言われるような事、した覚えはないよ」


彰人はあたしの座る机の一つ前の机に座った。


あたしと出会った頃の彰人だったら絶対に机に座るなんてしなかったんだろうな。


「彰人はこの一年楽しかった?」


最後にする事を悔やんだりはしてない。
ただなんとなく聞いてみたかった。


「なんか今までが嘘みたいだった」
「嘘?」
「いろんな事したからかな。凄くあっという間だった気がする。でもあの時、茜に声をかけて良かったって思ってるよ」


彰人の気持ち、


もう何度も聞いた気がするのに、


やっぱり嬉しい。

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