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寝取られ漂流記

第17章 19歳秋

「会ってあげてもいいよ」
「ほんとか?」
「でもタダってのはなぁ」


別にお金が欲しいわけじゃない。
ただの揺さぶりだ。
これで意見を引っ込めるならそれだけの男だったって事だし。


「分かった。連絡先教えて?」


車が止まった時に差し出された携帯を受け取ると、
あたしは赤外線でお互いのアドレスを交換した。
タダじゃやだ。
そう言っても引っ込めなかった。
だったらまた会ってあげてもいいと思った。


そうやって自分との男との間に線を引く。
お金の関係だって思い込む。
好きになってしまったらまた辛い思いをするから。


晃佑や彰人の時のような思いをしたくない。
無意識にあたしはそう思っていた。

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