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寝取られ漂流記

第18章 19歳冬

「は?」


正月、実家に帰るなり神妙な顔で待つお父さんの前に座らされた。
お父さんの隣にはお母さんも座っている。


仕事が忙しいとかで、全然家にいなかったお父さん。
そのお父さんの眉間にしわを寄せ、腕を組んだ姿勢に、
事の重大さは予想出来た。
でもその話はあたしの予想を大きく超える。


「リストラ」


あたしは今お父さんに話された内容のキーワードを復唱する。
仕事に人生を捧げてきたようなお父さんにとって、
それほど辛い事はないと思う。


「次の仕事はなんとか見つけた。しかし収入は大きく下がる。お前に仕送りをする余裕はないんだ。すまん」


お父さんは申し訳なさそうに、悔しそうにあたしに頭を下げた。
今までだって生活にそこまで余裕があったのかと言われたら分からない。
それでも県外への大学の進学も止めず、
今までしっかり仕送りもしてくれた事を考えたら、
それなりには収入があったんだろう。
もしかしたら元々苦しかったのを無理していたのかも知れないけど。

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