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Pour mon cher -涙の先に-

第69章 優しさと愛の向こう側

「好きだ」




―――え‥‥?




ギュツと私を抱き締め、さっきまでの声色とは打って変わって優しい声。

全く思いがけない言葉が頭上から降り注ぐ。



い‥今‥何て‥‥?



聞き間違い‥?



流れてた涙もピタリと止まり思考が停止する。




そんな私の髪に猛司は顔を埋め、今度は聞こえるように耳元でそっと




「愛の事が好きだ」




囁いた。





瞬間―――。




視力も聴力も嗅覚も何もかも全部。


五感で感じるモノ全て猛司だけにしか向けられなくなって。



完全、私の世界に映るのは猛司、ただ一人。





ドキドキドキドキ‥‥・




胸が高まる。

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