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目の前に私は居るのに。



先輩の瞳に映ってるのは私なのに―――。




「先輩…？今先輩を抱き締めてるのは誰？」



無性に先輩をぎゅっとしたくなって。


先輩を抱き締め、ぎゅっと腕に力を入れる。



咄嗟の事に少しビクッとした先輩もすぐ体の力を抜いて私に身を委ねる。



「今先輩を抱き締めてるのは私ですよ？水守愛ですよ？」



他の誰でもなく…私なんだよ？



「先輩の目の前で今話してるのは私だよ？」



だから




だから



だからお願いだから、ちゃんと私を見て？




私の気持ちが少しでも届くように



私の温もりが少しでも先輩に伝わるように



「私」をちゃんと認識してもらえるよに



ぎゅっと先輩を抱き締める。




先輩…


水守　愛はちゃんとココに居るよ？