乾いた空
第4章 四章
お兄さんはポケットの中から、少しくたびれたメモ帳らしきものを出した。
「何これ?!」
これは"ユウキ"名義の通帳と印鑑だった。
「い…いざという時の為だよ、ユ…ウキ……」
「い…嫌だっ!
お父さんっ!」
私は貴方にまで取り返しのつかない酷いことをしてしまった。
「ぼ……僕のさ…最初で最後の頼みを……き……い………て………」
ただでさえ血の気の無いお兄さんの顔は更に真っ青になり、反対に体は血で真っ赤に染まっていた。
昇る日の光が私達を照らし始める……
痛いぐらいのオレンジ色の刺さるような光を……