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好きな人がいた

第9章 社会人五年目

先日、数年振りにCちゃんに会って話をした。
彼女は彼女であの頃いろいろ大変なことを抱えていて、正直彼のことに構っている場合ではなかったのだそうで。
「私だって他に好きな人がいたんだよ」
そう言って笑うCちゃんはあの頃と全然変わっていなかったけれど、ずっと感じていた超然とした雰囲気は薄れて普通の人のようだった。きっと本当は私がそう思っていただけでずっとずっとちょっとだけ変わった普通の子だったんだろう。
「あなたがAくんのことが好きだったのはわかってた。でもほんとのところ、巻き込まれてちょっと迷惑だったかな」
ああそうだっただろうなと思った。今の私が昔の美化した備忘録を読むだけでも相当こじれているのだから、関係ないCちゃんからしたらさぞ面倒だったことだろう。

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