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第2章 クラゲ

ふわりと流れる雲を見ていれば、さっきまで静かに穏やかだった波がゆらゆらと大きくなる。

そして、突然視界が塞がれ、唇に暖かさを感じた。

その暖かさはすぐに離れて楽しそうに笑う声に変わった。

僕は急な出来事に溺れそうになるが、なんとか立ち上がり、僕より背の高い相手を見上げた。

「なんで迎えに来てくれへんの?」

スッと抱き寄せられると耳元まで顔を近づけて小さく囁かれた。

「だって…二人で会いたかったから…。」

2週間分の寂しさを埋めるように強く抱き締めた。

「けど、なんで海なん?」

ゆっくりと離されて顔を覗き込まれればこんなに近くにいる大倉に僕は泣き出しそうだった。

「思い出しててん。雲を見て。」

「…雲?」

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