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背徳の雨

第1章 全てはここから始まる



1995年7月
私は建築一家に生まれた。
一人っ子で何不自由無く
寧ろ贅沢して甘やかされて育った。
裕福な家庭で父は祖父が
立ち上げた建築会社の跡取りだ。
亭主関白で厳格な祖父だが
私には甘く、
何でも好きな物を買い与えた。

「音羽、何が食べたい?」

優しい祖父の笑顔はしわくちゃで、
そんな祖父が大好きだった。
私は大のお爺ちゃん、お父さんっ子で
幼稚園を休んで現場についていき、
いつもボルトや水平器で遊んでいた。
父の仕事が終われば自宅へ帰り、
深夜1時頃
母を迎えに行く。
私は母が大嫌いだった。
キャバクラで働き、
飲んだくれて帰ってきて
朝も昼も寝たまま。
母は私に見向きもしない。

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