背徳の雨
第5章 儚く、脆く
私は罪を冒した。
だからこの罪の罰は
一生をかけて受けていく。
だから自ら蕀の道を進む。
私はもう戻らない。
いや、戻れない。
あの頃には…
あの場所には…
あの日々の暴力で負った、
身体の傷は癒えていく。
なのに
私の心の傷は癒えるばかりか
広がって抉れていく。
心から流れる血は止まらなくて
いっそこのまま死んでしまいたかった。
どうしたら死ねるの?
どうしたら楽になれるの?
毎日そればかり考えて
いつか死ねる日を待っていた。
リストカットは増え続け
まるで私の心の傷のようだった。
息をする度に心は傷付き
思い悩む毎日。
毎日一睡も出来なくて
食事も取らず、窶れていく。
そんな私を見た、
いきつけのネットカフェの
仲の良い店員さんは
私を気にかけているようだった。
「音羽ちゃん、大丈夫?」
彼には本名を名乗っていた。
小柄で黒縁眼鏡をかけた彼を見ていると
自然と心が落ち着いて
ありのままの笑顔が溢れる。
「大丈夫だよ」
心配をかけたくなくて
笑ってみせるけれど
彼は笑ってくれなかった。
「何か悩み事があるんじゃないの?」
僕で良かったら相談に乗るよ?
彼だけが私に優しい言葉をかけてくれる。
「ありがとう…」
それは心からの言葉だった。
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