迷路…俺の場合 (Ver.N)BL表現有
第12章 現実
俺は
マシロを
寝かせたまま
スタジオを片づけ
軽く
明日の準備をして
また
マシロの側に
腰を下ろした
マシロの
微かな
寝息が聞こえる
何度も
起きようとする
マシロを
叱りつけ
タオルケットを
かけてやると
いつの間にか
寝てしまったようだった
黒い瞳は
瞼の奥に隠れてしまって
見えないけど
長くて
マスカラもついていない
ふわりと軽い
まつ毛が
マシロらしい。
あどけない
子供のような
はじめてみる
マシロの寝顔に
俺は
つい
見とれてしまっていた
ふと
酔った俺を
心配して
俺のおでこに
手を当てたマシロを
思い出した
あの時と
同じように
なんの警戒心もない
自然な
マシロの唇が
そこにあった
右目を閉じて
左目だけで
マシロの唇を
とらえる
そして
心の中で
俺は
シャッターを切っていた
カシャン