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切ない関係

第10章 歪んだ俺。


それから、色々準備をしていたら夜の八時五分になった。


まだ雅紀がこない事に不安になっていた頃、インターホンが鳴った。



玄関に行きドアを開いた。そこには何も知らない笑顔を浮かべている雅紀。


胸がチクリと痛む。


「入って」



「うん、おじゃましまーす」


そのままリビングに向かって歩く。



「珍しいね、翔ちゃんの家なんて。」



「うん…。たまにはね」



「なんかあったの?」


「……どうして?」

「電話の中の翔ちゃん変だったから。」

心臓がドキッとした。


「相談ならいつでもしてよ!話ならいつでも聞くよ?」


その優しさが俺を苦しめる。



「翔ちゃん?」


覗き込むように顔を近づけくる雅紀。


「ならさ、今すぐ相談に乗ってよ。」



「え?」


不思議な顔をした雅紀に詰め寄る。



「……俺さ、雅紀の事好きなんだ。この気持ち受け取ってくれたら、解決するんだけど。」



逃げられないように、壁に手をついた。


「よく分かんない……なんで?」



「ずっと、好きだった。ニノよりも」



雅紀の頬に手を添える。


ビクッと肩を震わせた。


抵抗しないから、俺は勘違いするんだ。


俺はそのまま首を傾けて、顔を近づけた。

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