
切ない関係
第10章 歪んだ俺。
俺が悲しい顔?
「してないよ、するわけない……」
雅紀から身体を離す。
「してるよ…だって」
雅紀が俺の頬に触れる。
「ほら」
そこには指先が少し濡れている雅紀の手。
泣いてる…?
そんなわけないと自分に言い聞かせても涙は止まらない。
「ごめん…ごめん。」
やっとの思いで口から出た言葉。
すると雅紀が、「ごめん、ニノ。翔ちゃんと二人で話がしたいんだ。」
「……うん。分かった、じゃあ行くね」
「ありがとう」
出て行くニノに言葉をかける。「なんで、、、」それしか言えない俺にニノは言った。
「まーくんの事、信じてるから。」
その瞬間、分かった気がした。
俺が、ニノに勝てない理由が。
「パタンッ」と玄関が閉まる音がした。
