
切ない関係
第10章 歪んだ俺。
「座ろっか」
「………」
雅紀の問いかけに俺は黙ってソファーに座った。
「ちゃんと話して?」
俺は雅紀の目を見ずに話した。
いつから雅紀の事が好きだったか。
どんなに想っても伝わらない苦しみ。
今日の事も、全部自分が仕組んでやった事。
最後に……ずっと心の中で思い続けてきた
「お前が俺の事嫌いになれば、俺が楽になれると思った…ホント自分勝手だよな・・・」
「ゴメン…。気づいてあげられなくて。こんな辛い思いしてたなんて知らなかった。」
自然に目線が雅紀へ向く。それと同時に疑問が湧いた。
「あのさ今日の事、怒らないの?あんな酷い事したのに…。」
「怒らないよ……。むしろ感謝してるよ!だって、翔ちゃんの気持ちが聞けたし。嬉しかった」
どこまでも優しい雅紀。
これは自分へのけじめ。
雅紀を命一杯抱きしめる。
驚いてる雅紀も何かを悟ったのか、大人しくなった。
雅紀を離したら、ここからは普通の…メンバーの一人に戻る。
いいんだ、これで。
そっと雅紀の身体を離す。
「お前の事、好きになって良かった。」
「ありがとう。翔ちゃん」
俺は帰るように促す。
「ほら、きっとニノが心配してるよ?帰って安心させてあげて…」
「…うん、そうだね。じゃあまた明日!」
「気を付けて帰れよ!」
雅紀が帰った後、ニノにも電話をした。
何もかも話した。
怒られる事を予想していたのに、思いがけない言葉にビックリした。
「「翔さんの事も信じてるから」」
「ありがとう」と言って電話を切った。
俺は幸せ者なんだって改めて感じた。
きっと、胸にぽっかりと開いた穴はすぐには埋まらないけれど…雅紀を好きになって良かった。
心からそう思うよ。
end
