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理想と偽装の向こう側

第21章 逆転

小田切さんは、動きを止めずに聞き返す。



ドキドキが、止まらない!



心臓が破裂しそうだけど…でも!



「あっ!私…小田切さんの事が…!」



「え…。」



やっと唇が離れ、私の眼をジッと見る。



その瞳が綺麗で、吸い込まれるかのように…



「好きなの…。」



瞬間、小田切さんの瞳は大きく見開いた。



私は続けて



「小田切さんと…ずっと一緒にいたい…。愛したいの…。」



喉が詰まりそう。



身体が、震えてしまう。



一世一代の告白だった。



小田切さんは、静かに眼を閉じてから、口を開き



「香織ん…ごめんね…。」



そう言った。



「あ…。」



あぁ…私じゃ光花さんの代わりにもならないのか…。



絶望と共に、一気に大粒の涙が溢れでる。

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