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理想と偽装の向こう側

第22章 約束

「一晩中、眠れなくて…こんな弱い俺の為に、光花は手紙を残してくれたんだなって…前に進める様に。」



自嘲気味に笑いなから、車に乗り込む。



「でも…本当にそれでいいのか、何度も手紙を読み返したんだ。」



「うん…。」



「光花の性格を考えたら…あの手紙の内容は真実だと思った。けど、今度は君への罪悪感と執着心で揺れてさ。」



「私の?」



小田切さんは、ハンドルに両手を載せて、前のめりで寄りかかる。



「あぁ…俺の弱さに巻き込んでおいて、今度は惚れさせたいって…虫がいいだろ。更に彼氏が現れちゃうし…。」



「でも、嘉之とは…。」



「そう…君は嘉之との事でズタボロだった。だからチャンスだと思った。」



「チャンス…。」



ドキン!と、胸が高鳴る。

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