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理想と偽装の向こう側

第22章 約束

「確実に俺の方が側にいる…傷の舐め合いに付け込んだんだよ…。ねっ!狡い男だろ?」



眉毛を上げて肩を竦めて、私に笑いかける。



「はは~案外、策士だね~。」



「そう…君の…傷を受け止めながら、俺の方に引き摺り込んだの。」



そこまでと思うと…凄いドキドキする。



「甘やかしてる様で、香織に触れたくてさ…必要以上に抱き締めた…。」



瞳を色っぽい揺らして、私の頬を撫でる。



「そして…肌に触れて香織が反応する度に、嬉しくて仕方なかった…。」



「志信…。」



人差し指の背で唇に当ててきて、ゾクリとする。



「あっ…。」



「後は、最初の約束をどうするか…これは、香織の気持ちが必要だった。」



「私の?」



「そう…。」

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