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理想と偽装の向こう側

第23章 幸か不幸か

土曜日

「香織…お土産、本当にこれでいいの?」



小田切さんは、一生瓶片手に頭を傾げた。



「いいの!いいの!うち、呑んだくれ一家だから、お父さんとか志信が一緒に飲み明かしてくれるだけで喜ぶから!」



「う~ん…ならいいけど…。いきなり泊まらせてもらって失礼じゃないかな?」



「ううん…うちこそ、ごめんね。休みなのに一泊していけなんて…。」



そうゆう訳で、小田切さんは飲んべえ一家の我が家に、会う前から付き合わされるはめになった。



家に近付くと、小田切さんは珍しく、何度も深呼吸している。



「志信…具合悪い?」



「あ…緊張してるんだよ…。父親に会うって初めてだかさ…。」



そうか…光花さんは、お母さんだけだったんだ。



「大丈夫~めっちゃ普通~だから!たまに、おやじギャグ言うけど。」



「はは!優しそうだよね。きっと。」



小田切さんの気持ちが、本当に嬉しかった。

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