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理想と偽装の向こう側

第6章 予測不可能

黎子と別れて駅からの帰り道、小田切さんと出会った橋の上を通り掛かり、立ち止まった。



街灯か余りなく暗がりの中、川の水面は月明かりを反射させている。



その水面をボンヤリ眺めながら思い返す。



生まれて初めて、死にたいと思ったくらい辛かったのが、たった一週間前なのがウソのようだ。 



嘉之とあった出来事を一つ一つ鮮明に脳裏に蘇らせる。



そうすると、未だに胸の奥が締め付けられる感覚。



甘ったれなところ。
自己中なところ。
寂しがりなところ…。



そんなところも許せるくらい大好きだった…。



何より、子供の様な無邪気な笑顔が堪らなく好きだった…。



この人の為に、命を掛けても惜しくないと、本当に思っていた…。


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