テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第6章 予測不可能

川上から風が静かに吹いて、髪が頬を掠める。



気まぐれにきた、電話とメール。



嘉之の気分次第で重ねた、唇と肌…。



嘉之の無邪気さに、振り回される様になっても…なんとか受け止めていけると、自分を奮い立たせてた。



そう…あの娘が現れるまでは…。



幻想を現実に摩り替えることが、出来ていた。



負の感情が、一気に押し寄せる…。



頭の天辺から、砂が落ちてくる感覚…。



グラッと目眩がして、橋の縁に手を突いた。



息苦しい…。



ここ一年、思い出すとこの症状に陥ってしまうのに、敢えて考えてる自分がいる。 



どこで違えたのか、何が正しかったのか、今更考えても無駄なのに…。



自身を納得させたくて、繰り返す…。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ