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理想と偽装の向こう側

第3章 初めての夜

「かんぱ~いっ!!」



カッチン!!



居酒屋のあちこちから、乾杯の音頭があがっている。



「課長がさぁ~…。」
「子どもの進学で…。」
「あいつムカついて…。」



お酒の勢いで、普段溜まっていることを口々に吐き出してるのが、耳に届く。



あの後、居酒屋で落ち着く事にり、家で自棄酒計画は流れたが、結局お酒は飲む事にはなった。



また、偽装同棲相手?こと小田切志信の話しの乗せ方やお酒の勧め方がさりげなく、ハートブレイクも相まって、いつもよりハイピッチで飲んでしまっていた。



「おっ!香織ん、いける口だね~!次は、何系いきたい?」



「ワイン~。」



「う~ん、気分的にはその流れだろうけど、ワインは美味しいの飲んだ方がいいしなぁ~。とりあえず、焼酎どう?この新製品とか、うまそうだよ。」



と、私の状態に合わせてチョイスしてくれる。



確かに、これで七杯目くらいのになる。ハイピッチで飲んだのでワインだと、悪酔いしかねないと踏んでるのだろう。

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