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理想と偽装の向こう側

第3章 初めての夜

私が言い終わると、小田切さんは焼酎のグラスを静かに置いた。



カラン…グラスと氷がぶつかる音が響く…。



この微妙な間合いに一瞬、緊張感が走り、私はゴクリとツバん飲んだ。



「言わなかったの?」



「えっ?」



「香織んは、今みたいな言葉を言わなかったの?それが素直な気持ちだったんだろ。」



「あ…素直な…。」



「彼に自分が、必要だ。香織んじゃないとダメなんだって言って欲しかったんだろ。」



「う…うん…。」



「素直じゃないね~香織ん!!」


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