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理想と偽装の向こう側

第8章 絶対服従

「香織ん、ショール取った方がいいよ。汚れちゃうから。」



えっ!不味い!



「いや…大丈夫!」



と言ってる間に、小田切さんは親切心から、スルッとショールを取った。



私は、お皿を置いて胸元を隠そうとしたが、明らかに小田切さんは、嘉之が付けた痕跡を見つけ、固まっていた。



「香織ん…。」
「あっ…。」



一瞬にして、崩れ落ちる幸せな時間。



小田切さんの顔は、今までに見たことのないくらい強張っていた。



「な…にが、あったの…?」



「……。」



「ボタンまで取れて…誰に…何されたの…。」



「ご…ごめんな…さい…。」



「なんで!謝ることじゃない!」



心配そうに叫ぶ小田切さんの声に、罪悪感が一気に襲ってくる。



「よ…嘉…之…に、会って。」



「嘉之…。」



小田切さんは、天を仰いだ。


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