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理想と偽装の向こう側

第8章 絶対服従

沈黙が尋常ない重さで、のし掛かる。



逃げ出したい気持ちに、駈られてくる。



小田切さんは、頭を下げて微笑みながら…それでいて切な気に言った。



「良かったな…嘉之と仲直り出来たんだね…。」
「っ!!」



違う!



私が、言いかけようとしたが、小田切さんはスクッと立ち上がり



「香織ん、俺午後から行くところあるから、出掛けちゃうけど、食べたら一眠りしなね。」



そう言って、部屋に入って行ってしまった。



な…何が起きたんだろうか…。



胸元に手をやる。



嘉之が打った布石は、確実に効果を発揮し、じわじわと黒い染みを拡げていく…。



嫌な予感は、早速当たった。




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