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理想と偽装の向こう側

第8章 絶対服従

カチカチカチ…。



時計の秒針の音だけが響く…。



お風呂に入り、髪を乾かして、ソファーの前で膝を抱えて座り込む。



もうすぐ、24時になる。



別に、毎回週末を一緒に過ごす約束をした訳じゃない。



でも、いつの間にか、この部屋で小田切さんが横で笑っていてくれるのが、当たり前になっていたんだ。 



自分で自分を抱き締める。



胸元の痣が、嘉之との情事を蘇らせ身体を疼かせる。



「…小田切さん…。」



名前を言うだけで、切なくなる…。



時計の長針と短針が、一つに重なる。



小田切さんは、帰って来なかった…。




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