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理想と偽装の向こう側

第9章 衝動と不安

6年前


「ちょっ!ヤバい!この人めっちゃ好みぃ~!!」



買い物の後、喫茶店で黎子と一息付きながら、買ってきたデザイン専門誌を見ていた。



「はぁ~?香織の趣味なんて、黒王子か執事で二次元でしょ。」



黎子は、いつも変わらず痛烈に言い放った。



「3Dまで、そんなんじゃないわよ!」



「どうだか。サラサラのやや長めの黒髪、燕尾服かタキシードが似合いそうな、細身の長身ばかり、トキメくクセに。必須アイテムは眼鏡でしょ!」



「うっ!」



「どれ、見せて見なさいよ!」



そう言って、黎子は専門誌を取り上げ、



「あんた…本当に裏切らないわよね…。絵に描いたようなって、香織のためにあるような言葉だわ。」



「はい………。」


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